2015.11.10~11 宮之浦岳縦走 

メンバー:渡邉(あ)単独 11/10 0530淀川登山口 0930宮之浦岳 1020永田岳 1430縄文杉 1730白谷小屋着~泊まり 11/11 0730白谷小屋発 0815白谷雲水峡駐車場着

久しぶりに屋久島の苔むした美しい森と山を歩きたくなり、まとまった休みが取れそうな11月に縦走を計画した。屋久島には7年ぶり、4回目の訪島となる。宮之浦岳も2回目だが、前回はガイドに案内してもらい淀川登山口から日帰りでピストンした。

9・10日と予定していたが、9日が雨予報のため一日ずらし、10・11日の決行としたがどちらにしても天気の期待は出来ないまま出発となった。 民宿のご主人に登山口まで送ってもらいまだ真っ暗な道をヘッドランプを付けて5時半にスタート。縦走装備だが暗いので自然と足早になる。7時近くなって、木々の隙間から朝日が見れたがそれもすぐ雲に隠れてしまった。 さすが百名山のメイン登山道。びっしりと木道が敷かれていて、山道を歩いている感覚がない。黒味岳も登る予定だったが、風が強く展望がなさそうなのと昔登ったので今回は分岐点をスルーする。稜線に出て一瞬青空が開けたが、5分もするとガスになってしまった。 黙々と歩いて9時半、宮之浦岳着。あれれ?もう着いてしまった、という感じ。景色はなし。風が強く体が冷えるので、そそくさとピークを去る。 縦走路から外れ、空身で永田岳を目指す。先ほどまでの整備された道とは一変し、荒廃しササも伸び放題で朝露で全身ずぶ濡れになってしまった。「整備を後回しにされた登山道」と名付ける。岩を乗り越えピークに着くが、こちらも展望無し。根元からぼっきり折れている標柱を無言で見つめ、朝露で濡れた靴下をしぼり来た道を戻る。 縦走路に戻り、今日のテン場 新高塚小屋を目指す。花崗岩の稜線歩きを終え樹林帯に入る。強風に当たり続けたせいで幹がグニャリと曲がったヒメシャラ(オレンジ色の木肌をしたツバキ科の美しい木)のトンネルが続く縦走路は一本の木、それぞれがアートのようで、「こちらへどうぞ」と木に導かれるように美術館を歩いている感覚になる。ヤクシカが登山道に立ち塞がっていたり、名もない杉の巨木があったり、屋久島ならではの縦走路を楽しんだ。

「もったいないから、ゆっくり歩きなよ」と言う自分がいるが、気持ち良いのでこのままペースを崩さず一気に駆け抜けたい自分もいて、結局はハイペースで疾走してしまった。 テン場の新高塚小屋に13時に到着。早すぎる。明日は雨だし、今日はまだ歩きたい気分。今日のうちに下山口の白谷小屋まで下りて、明日朝一のバスで街に下りようか?と思い浮かんだ。 15時に縄文杉に到着。これまで見てきたどの巨木にも比較にならないくらい大きな縄文杉は立派で、いつまでも在り続けて欲しいと思う。屋久島ブランド・縄文杉周辺は踏圧の影響を避けるため木道と階段が延々続いていて歩きにくい。時期的に数えるほどしか人がいないのが幸い。 トロッコ道から楠川分かれに入り辻峠へ向かう。この道は歩く人が少ないようで、江戸時代の屋久杉の搬出路がそのまま残っており、杉の原生林と苔むした石畳の階段が続き(しかもこの階段がものすごく歩きやすい)、ときおりヤクシカが腰を下ろしている。辺り一帯時が止まったような、人の気配を忘れたような森。異次元に入ってしまった、どこに導かれているんだろうか?こんなに美しい道があるのか?コースタイムではたった1時間と書いてあるが、どうか終わらないでと願いたくなるほど本当に美しい道だった。

辻峠から白谷雲水峡(通称 もののけの森)に入る。ここを歩くために来たけれど、ロープや看板が多く、昔よりもずっと人工的になっていてさっきの道に比べると感動は薄い。 17時半白谷小屋に到着。古くて広い小屋に泊まるのは怖いし、濡れたテントを持って帰るのも面倒なので、小屋の土間にテントを張った。夕方歩いたあの道は現実なのだろうか?次行ったらあれは“まやかし”だったんだよ、と言われるのではないか?と三岳を呑みながらテントの中で揺れた。

6時起床、7時半出発。雨予報だったが、まだ天気が持っている。9時のバスに乗るため下山口に向かっていたら、後ろからトレランの女性が下りてきた。なんと、昔宮之浦岳縄文杉など毎回案内を頼んでいた現地のガイドで、向こうも覚えていてくれ、民宿まで送ってもらえることになった。嬉しい偶然で昔話に花が咲いた。8時過ぎに下山。ガイド登山の7年後、自分で計画してテントを持って縦走しに来るようになったんだなぁと感慨深く、展望は望めなかったが、ヒメシャラの美術館のような縦走路や忘れがたい美しい道に出会え満足し、花山歩道はもっと綺麗だと教えてもらい、タイミングが合えば5回目の訪島も遠くないような気がした。

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DSCN1533 11/7 太鼓岩から見た宮之浦岳など屋久島の山々