2016.7.1~3 コイカクシュサツナイ岳~ヤオロマップ岳~1839峰

2016.7.1~3 コイカクシュサツナイ岳~ヤオロマップ岳~1839峰 追悼山行 メンバー CL宇野(ふ)、渡邉(あ) コースタイム 7/1 11:00コイカクシュサツナイ川出合 12:45上二股 17:30コイカク頂上(C1) 7/2  4:30 C1出発 6:15ヤオロ頂上 8:45 1839峰 11:30 ヤオロ頂上  13:50 コイカク頂上(C1撤収)  16:00 1305m(C2) 7/3 5:30 C2出発 7:45 上二股 10:30 札内川ヒュッテ駐車場

7/1 晴れ20℃位 札内川ヒュッテ駐車場には10台位の車。ゲートをくぐりコイカク登山口へ15分程で到着。入渓。水は少なく歩きやすい。砂防ダム、2つの函を順調に巻き、スカイラインを眺めながら上二股到着。他に沢靴もぶら下がっていなく始終貸し切り山行となる。水は2人合わせて15L。多いと思ったが結果的にはギリギリの量だった。結局雪渓も無くここでしか補給は出来なかった。私のザックは50Lで18㌔位だが相方は70Lザックがパンパンだ。当然私よりかなり重い。申し訳ないので「もう少し持つよ」と言ってみた。「トレーニングも兼ねているので大丈夫。これ位何ともない。」何という男前。コイカクの急登をトレーニングなんて。私とは出来が違い過ぎる。そして追いつけない程の勢いで登る後姿は素敵すぎた。おかげでこの苦行の急登も久々すぎる泊り山行にウキウキしている気持ちが折れずにあっという間にコイカク頂上、設営。見える!気が遠くなるような稜線。そして堂々たる1839峰。鳥肌が立つほど素晴らしい景色に相方は興奮し過ぎで泣きそうだ。いつまでも眺めていたいが体が冷えてきたため早々にテントへ。乾燥野菜の鍋ととうきびご飯に心身暖まる。スマホで天気予報を確認すると、明日は9時から雨で、午後から風も強くなるため、早起きして9時までに1839峰に到着しよう、早めに振られたらヤオロまでと相談し、就寝。 7/2 天気予報では朝から曇り予報。風もかなり強くなる。しかしテントから顔を出すと晴れて無風。一気にテンションが上がる。アタックザックで身軽になった相方はまるで解き放たれた馬車馬。待ってよ~。ヤオロの窓を越えふと前を見ると数m先のハイマツがゴソゴソと揺れる。一瞬背筋が凍りつく。ヤオロ頂上までの稜線上に熊が爆走。時々立ち上がってこちらの様子を伺っている。「おじゃましています!」叫ぶ相方。ちょっとだけお庭を散歩させていただきます。私も心の中で叫ぶ。感動して涙が出てきそうだ。1839峰に少し雲がかかっている。まだ無風で少し曇っている程度。目標のヤオロに到着したが二人の心は決まっていた。「村岡さん、行きます。ザンクよ、登らせてください。」二人で叫びながらいざ出発。途中フレッシュな熊糞に目もくれず黙々と歩き続ける。村岡さん現場付近で合掌。もうすぐ12年。見守っていて下さい。急峻なアップダウンにうんざりしてきた頃にいよいよラストの岩場、頂上へ。また来られたことに感激する。相方は恒例の看板抱きしめ「あなたに会いに来たんだよ」と語りかけ。私も真似してみる。天気はまだ崩れていない。早々に下山する。ヤオロで雨にあたるがすぐ止む。私達ツイてる。テン場に戻りホッと一息し撤収。今日はC2を1305mまで下げることに。下り始めた頃ついに雨が強く降り出し1305mに着いた頃は風も強くなる。全ての行動時間がギリギリだったことを痛感。幸運だった。 7/3 雨の中撤収したが二股に着くころには晴れてきた。増水が気になっていたがそれほどでもなく一安心。膝上までの渡渉を何度かしたが問題なく出合に到着。山から遠ざかっていた身体には堪えた。一方相方は、「もう終わっちゃった」と嘆いている。日高に魅せられしまった彼女の相手は大変だ。次はどこへ行こうかとドキドキしてきた。 記:宇野(ふ)  

イカクの沢を歩きはじめてすぐ頭が山モードに切り替わった。ふみさんと三日間も日高に居れること、これから見れるであろう稜線からの眺めを想像すると身震いするほど嬉しく、久々に邪心が入り込む余地がないくらい集中し、アドレナリンが溢れ出る感覚になった。 コイカクの登りはふくらはぎが張ってくる程の急登だったが、たまに緩い斜度になると、「私は早く稜線に上がりたいんだよ!もっと斜度をちょうだいよ!!」と思うほどアドレナリン・フィーバー状態。そして歩きながら、中札内の最後のコンビニでトイレを借りに立ち寄ったのに、何故かビールを買い足し持ってきた自分に賞賛を贈った。 稜線に上がると良い風が吹いていた。今の私には布団に入る瞬間よりも、美味しいご飯を食べている時よりも、風に吹かれながら山の稜線を歩いている瞬間が、どんなときよりも幸せに感じる。 コイカクピークにC1を設営し終えた頃、雲がどんどん下がっていき日高山脈の稜線が続々と見えてきて、まさに私たちに見せてくれるかのような天空のショーが幕開けした。高さはないが一段と細く聳える中部・南日高、西日がさし急斜面のハイマツのドレープが美しく波打つ。湧き出る幻想的な雲、今ここにいるのは私達だけという贅沢を噛み締める。ただ、正面には1839峰が独特のシルエットで聳え、無言の威圧感を与えてきて心が安まらない。明日、ほんとにあんなところに行けるのだろうか。はっきり言って自信はない・・・。 天気が崩れる予報に変わったので翌日の行程にリミットを決めたものの、朝テントから出るとまさかの快晴。ヤオロの稜線にはヒグマがいて、夢のような光景に出会えたことに二人で大興奮した。短い手足を一生懸命伸ばし稜線を駈け上がっていくキムンカムイの後ろ姿は一生忘れないだろう。 ヒグマからパワーをもらい一気にヤオロまで爆進。2人の歩みのペースは乱れることなく雨が降る予報の9時前にはしっかり1839峰に着き(あれだけ辿り着けるのだろうかと恐れていたが、ガスっていたせいもあり、あら着いた、という感想)、村岡さんの追悼。先輩方が1839峰のことを「ザンク」と言うのが玄人のようで物凄くカッコイイので、私もこれからは生意気ですが「ザンク」と呼ばせて頂きますとご挨拶する。C2もCo1305まで早いうちに下ろすことが出来、案の定、二日目の夜の風は樹林帯でも凄まじく、もし稜線上からテントを移していなければ洒落にならない事態になっていたと思った。 その場で臨機応変に判断しそれを実際に行動に写し、全ての工程を二人で達成できたのは嬉しく、自信へと繋がった。 ふみさんは山ではお酒は殆ど飲まないが、下山後ニヤニヤしながらプロテインを飲んでいた姿はやはり常人ではないと思った。これからもパートナーとしてお互い高め合い、私達らしい山行を続けていきたい。記:渡邉(あ)

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