トヨニ岳~ピリカヌプリ~ソエマツ岳 2017.3.17~20

CⅬ&食担:宇野(吉)、宇野(ふ)、渡邉(あ)

コースタイム 3/17 10:45 野塚トンネル横駐車場出発  雪のち晴れ    12:15 稜線到着    13:30 cont.1251m    15:00 トヨニ岳南峰手前コル C1    16:50 テン場完成    21:00 就寝    

3/18  4:00 起床     6:25 出発     6:30 トヨニ岳南峰     7:20 北峰 7:45 出発     9:30 cont.1500m手前 Ω2 ここまでスノーシュー!    11:00 雪洞テント完成  スカイバー・ピリカ オープン 15:00閉店    19:30 就寝    晴れ

3/19  3:30 起床     快晴     5:30 出発     6:30 cont.1338m     8:05 ピリカヌプリ 8:35出発    10:15 cont.1529m    12:15 ソエマツ岳 12:20出発    12:35 cont.1500m 休憩 12:55出発    13:35 靴幅リッジ通過    14:00 cont.1529m    16:05 ピリカヌプリ 16:15出発    17:25 cont.1338m    18:20 テン場到着    22:00 就寝    

3/20  5:30 起床     快晴     8:00 出発     9:25 トヨニ岳北峰    10:10 トヨニ岳南峰 C1跡地で休憩 11:00 出発    11:50 cont.1162m 12:00出発    12:50 駐車場到着      今回の山行は、女性陣二人が当初1泊で芽室岳に行く計画が発端で、私も諸々の都合をつけて3泊4日の行程となった。4日となるとかなり山の選択肢も増えたが、数年前の同時期に敗退しているピリカヌプリ、あわよくばソエマツも視野に入れた計画となった。3泊あれば悪天でも最低ピリカはアタックできるだろう!考えると積雪期のピリカ、ソエマツは日高全山以来の実に16年ぶりとなる。ワクワクしてきた。さらにT氏も行けることとなり、ますますテンションが上がる。 そして、出発3日前の14日、なんと妻がランニング中に足を痛めた。軽い肉離れだと思われるが、階段の上り下りも痛いと言う。うーん何ということだ。さらに、前日、T氏の体調が悪く不参加となってしまった。あゆみ嬢も妻がいないと不安のようで、こちらも独身女性と二人っきりというのもなんだか憚られる。一人で行こうか、テンションがた落ちだ! とりあえず妻は行けるところまでということで、3人で入山することになった。予想通りトレースは高速道路と化しており、途中雪模様にはなるが1時間半で快適に稜線到着。幸先がよい。前回はトヨニ手前の岩稜帯で強風撤退となったが、今回は全く問題なく通過。予定どおり、トヨニ岳南峰手前で半雪洞テントのC1とした。妻の足も何とか問題なさそうで一安心。初日はジンギスカンをおいしくいただく。雪も止み、山々が月明かりに照らされている。ああ、やっぱり山はいいなぁ。 二日目の行程は結構迷っていた。ピリカの手前で早めに幕とし、ソエマツにロングアタックをかけるか、ピリカを越えて翌日のアタック後、再度ピリカを越えてトヨニ近くまで戻るか。しかし、妻の足や、全装で二回ピリカを越えることを考えると日帰り装備でロングアタックの方が無難だと判断してcont.1500mポコ手前にC2とした。なんとここまでスノーシューで来てしまった。まだ、9時半、時間もたっぷりあるし、2泊するので雪洞テントとすることに。1時間半で完成後は天気も良くポカポカのなか、バー・ピリカを開店。明日に備えてパワー温存。山脈を見ながら最高の贅沢、後続パーティを高みの見物で冷やかしながらついつい飲み過ぎてしまった。正月山行の二の舞になるか、気が付くと晩御飯の極上カレーができあがっていた。カレーは最高だが、気持ちが悪い。プリンもおいしくいただき、明日のために早めに就寝。 三日目も最高の天気、隣のパーティが先に出たので、ありがたくトレースを使わせてもらった。ピリカはどっしりと構え、さすが日高の標高差である。アップダウンを幾度か越え、頂上直下は稜線上とは思えない急傾斜だ。2時間半でついにピリカヌプリ山頂!あゆみ嬢は号泣している。なんという景色だ!北はカムエクの向こうまで見渡せ、日高の核心が全て丸見えになっている。これだから日高はやめられない。やはり格別だ! そして、妻から「ソエマツ行きたい人ー?」との声が。何ということだ、今山行自体も危ぶまれた張本人からこの発言。しーーん・・・。あゆみ嬢はここで満足か、私はリーダーとして考えるとソエマツ往復は厳しいか。しかし、妻の「今行かないと一生行けないかも知れない」のもう一声で決意。とりあえず行けるところまで、行くことにした。時間はたっぷりあるし、確かにこの快晴無風の状況でここでひきかえすと間違いなく後悔する。最悪、妻は私が背負えばいい。いざ、ソエマツへ!久々に山に呼ばれている気がした。 全山以来でコースの状況は全く覚えていなかった。途中にはクライムダウン、靴幅リッジも現れ、妻の足も怪しくなってくる。当初3時間、11時をリミットにしていた行程だが、どんどん時間が過ぎていく。頂上手前で妻がついに音を上げ、ここで待っていると言う。しかしここまで来て諦めるとは何事か。妻の荷を置いていくことにして、ついにソエマツ頂上へ、またしても、あゆみ嬢は号泣、神威岳は貴婦人の佇まいで聳え、カムエクも随分と近く見え、ソエマツ沢は頂上直下まで噂に違わぬ威容で深く切れ込んでいる。最高の頂上だ!来てよかった!帰りはヘッドランプになりそうだが、そんなの関係ない。 とはいうものの景色を頭に焼き付け、早々に下山を開始。妻の足は悲鳴を上げ出し、痛み止めとテーピングのお世話になることにした。これが、功を奏しゆっくりだが休みなく、歩を進めることができるようになった。靴幅リッジ、アップダウンはできるだけ巻いていく、危険個所を過ぎ、ピリカへの登りをあゆみ嬢に譲ると頼もしくどんどん高度を上げていく。なんと素晴らしい体力だ!結局、復路も同タイムでピリカ頂上に到着。危険個所は頂上直下の急な下りのみだ。ここであゆみ様は先ほどの勢いを失い、馬車馬から小鹿に変身。妻はすたすたと下りていく。やはり経験の差か。しかし、最低コルからあゆみ嬢はまた解き放たれた馬車馬と化し、鬱憤を晴らすかのごとくすごい勢いでテン場まで登り返していた。十勝側は夜の帳に包まれはじめ、ピリカは赤く燃え上がり感動の世界を繰り広げている。このタイミングでこの場所を歩けるなんてそうそうないだろう。幸せを噛みしめながらギリギリヘッドランプは免れ18時半、我が家に安着した。さぁビールを飲もう。 あっという間に余韻に浸った夕食も終わり、就寝。明日で下山と思うと寂しくなってくる。メンバー二人はすっかり神威岳の虜になってしまい、会話が弾んでいる。 四日目、下山日であるが今日も快晴無風、何と恵まれたこの4日間。トレースもバッチリで稜線も昨日とは打って変わり優しい。途中C1の半雪洞でゆっくり日向ぼっこする。駐車場までは稜線から30分ちょっとで着いてしまった。無事下山!お二人さん、よく頑張りました!次はどこ行こうかな? 【記:宇野(吉)】

数日後にリベンジ山行を控えているのにロングランで脚を痛めてしまう。(軽い肉離れ?) 迷いながらも共同装備を託し参加を決意。感謝です。甘やかしてくれた2頭のばん馬様。稜線までを目標にしたが、予想以上に快調に進める。なんとピリカ頂上まで順調に来られた。快晴微風。安定した天気。こんなチャンスは無いと悟った私は、ソエマツからの神威岳の姿、南側からの圧巻すぎる中部日高を見たいという欲の塊になった。脚の痛みがひどくなっても、引きずって歩けるはず。日が落ちてもヘッドランプがあるから大丈夫。沸々と湧いてくる変な確信。ピリカ山頂で十分ではないかと悩むばん馬たちに「行こうよ!行ける!」問題児からの発言に心中苦笑していただろうなぁ。ピリカ~ソエマツの稜線はボスばん馬がいなければルートの見極めが難しく、緊張する箇所が幾つかあった。瞬時の判断、さすがと言うしかない。いつもながらのナイスなガイドをされては、下界で文句も言えなくなってしまうではないか… いよいよ目前に迫るソエマツ山頂手前で、急激に痛みが出始めた。振り返ると長い復路。ピンチだ。今更焦り始め泣きたくなってくる。応急措置としてロキソニンと太ももにお相撲さんのようなテーピング巻きをしてみる。凄すぎる。使った事がないので軽く考えていたアイテムだったが、この二つが欠けていたらと今考えると凍りつく。マストアイテムに昇格。そして念願のソエマツ頂上へ。声も出ない程の迫力ある景色。南、中部、北日高。エリアによってこんなにも山容が違うのかと感激している横で、可愛いばん馬ちゃんは叫んでいるのか泣いているのか分からない興奮状態。そして恒例の山への語り掛け。ドウドウ。日高愛が強すぎるばん馬ちゃん。いつか全山縦走に挑戦するのではなかろうか。C2まで奇跡的にヘッドランプに頼ることなく帰ることができ、有り余るお酒で安着の乾杯。安堵でどっと疲れが出た。

・今回の装備:シュラフは真冬用で良かったと思う。濡れる心配は無いので防寒着はダウンに。行動中の水は0.8Lのテルモスで余った。手袋はテムレスデビュー。勢いのあるアルパインクライマーの間でも使用者多数らしい。雪洞作りの際にも濡れず私もテムレス仲間に入れてもらいます。サングラス無しの登山者がいた。多分雪目で大変な事になっていたと思う。また、ヘルメットにピッケルというスタイルの若者がいたが、何故にヘルメットか分からなかった。ストック無しでは辛すぎだと思う。スノーシューでトヨニまで問題なく行けた。 【記:宇野(ふ)】

予報では強風予報だったので、ソエマツどころかピリカにも行けずに撤退するのだろう・・・体調も低迷気味。ハードな山行をこなせる自信もなく、強風の中、ナイフリッジなんて歩きたくない・・・停滞して宴会の方が好都合、シメシメ・・・と思っていたが、天気予報は大きく外れ、4日間快晴無風の稜線を満喫してしまった。 下界での弱音は何処へやら、ザックを背負って歩き始めると何故か底力が湧いてきて、食欲も旺盛で二人に褒められるほどモリモリ食べ、天気にも後押しされイケイケ・ドンドン状態。自分の足取りと思えないほど好調にナイフリッジも超えることが出来た。(ピリカの下山は情けないほどビビッてたけど) ソエマツの山頂は、「これが中部日高だ、とくと見ておきなさい」と言われているかのように穏やかに出迎えてくれ、そこから見る日高の核心部の白い峰々は、あんな鋭い稜線を人が歩くことが出来るのだろうか?しかもあんなところまで辿り着くのに一体何日とどれだけの体力が必要なんだ?私には一生無理じゃないか…と諦めたくなるほど、犯しがたい遥かなる領域だった。そして、今自分が立っている場所が今までで一番山深い場所であることに猛烈に感動した。 去年の夏に登った1839峰が「よくここまで近づいて来たね」と優しく微笑んでくれているようで親しみを込めて手を振ったが、目の前の神威岳が無言の冷笑を浮かべ「登ってこれるものなら来てみなさい」と威圧感を与えてきて、今の自分には太刀打ちできない怖ろしく大きな山だと思った。そして、日本にこんなに綺麗な山があるのか、と思うほど美しい山容だった。 今回の山行で、吉彦さんから冬山の所作を改めて1から教えてもらい大変為になった。また吉彦さんの現地でのパーティの状態を把握しての判断は完璧で、私たち二人を安全に山頂まで導きBCに帰してくれた。長年の経験から出来ることなのだろうが、日高の山々から特別に可愛がられ、守られ、山から先の出来事を透視させてもらっているかのようなプランニング、完璧なリーダーだった。日高の申し子…桃から生まれた桃太郎ならぬ、日高から生まれた日高太郎・・・そんな日高太郎氏の夫人ふみさんは、旦那様よりもワイルドで気持ちが強い。肉離れでもソエマツに行きたいなんて、そんなガッツがある姐さんを止めるわけにはいかない。とんでもない夫婦に付き合わされたが、いつも最後のツメで逃げてしまう私はこの二人とじゃないと一生ソエマツは遠い山で終わっていたと思う。そして、毎晩テントでお腹を抱えてゲラゲラ笑った宴会は最高だった。とても感謝しています。 やっと少しずつ日高山脈の地図が頭で縫い合わせることが出来始め、尚更面白く、夢中になってきた。そして次の明確な目標が見えた。国境稜線を繋げること。神威岳を超えてペテガリへ!!【記:渡邉(あ)】

   

3/17 晩:ジンギスカン&ホルモン、白米 3/18 朝:餅3個入り雑炊 夜:6時間煮込んだ絶品カレー、海藻サラダ、プリン 3/19 朝:餅3個入りラーメン 夜:ベーコン・野菜たっぷりスープパスタ、マヨコンビーフマッシュポテト、プリン 3/20 朝:餅3個入りチキンラーメン 三晩のお酒:ウィスキー、日本酒、梅酒、ピール500ml×4本etc