2015.7.17~7.19  Overnight Traverse in 大雪

メンバー 宇野(ふ) 渡邉(あ)

7/17 21:00 凌雲閣 23:00 富良野岳 7/18 2:00  十勝岳 6:50  オプタテシケ山 10:10 コスマヌプリ 11:40 ツリガネ山 13:30 三川台 14:45 南沼 15:30 トムラウシ山 18:30 ヒサゴ沼避難小屋 7/19 5:00 ヒサゴ沼避難小屋 6:20  五色岳 11:00 白雲岳避難小屋 12:45 北海岳 14:30 旭岳 15:40 姿見 17:45 登山口

・挑戦するにあたって 10年以上前に夫曰く「大雪を24時間で縦走したい」と。何だか辛そうで興味もない。が、人は変わるもので。去年の今頃、自分の方が密かにやる気に。そんな時、石井さん武田さんの記録が!正直、先を越された気持ちに。奮発され「私もやりたい!」宣言。が、誰と行くかが大問題。夫と行けば、またガイド登山になるので避けたい。幸せなことに、これ以上ないパートナーが見つかり快く私と付き合ってくれることに。 ・行程計画 まずはどこから歩くか。後半にもうろう状態で歩くなら、歩きやすい大雪側をゴールと決めた。これは良かったと思う。 スタート時間は睡眠を取ってからだと、夜間にトムラ周辺になる。コスマヌプリへの笹道で道迷いをした記録があり、またロックガーデンも怖い。夜間はどうしてもは避けたかった。そのため双子池~ヒサゴまで明るい時間帯になるように、21:00スタートとするしかなかった。最初から睡眠不足なのでどうなるか不安だった。 やはり後から響いた。 ・装備食糧 軽量化を心掛けた。日帰り装備+ジェットボイルを持ち、水は途中で補給と考えた。出発時のザックは8.5kg(水2.5L、食糧1.5kg)。 水はオプタテ下りの雪渓で取れたので助かった。コスマヌプリ~ツリガネの間の雪渓でも取れる場所があった。三川台は無かった。 食糧は、炭水化物は重いため少量にし、パワージェルを多めに。ナッツ類、ドライフルーツなどで5500kcal分を持った。 あゆみさんは炭水化物を中心に7000kcal以上。テルモスも持っていたので10kg以上あった。これ位の重さは関係ないらしい。嘘でしょ。 結果としては、長時間行動にはやはり炭水化物。パワージェルは即効性があるが、2時間位でお腹が鳴ってくる。しかしあゆみさんのようにおにぎりを5、6個も持つことは私にはできない…  今考えると、アルファ米を作りながら歩けば良かったと思う。下山後、私は500kcal位余った。あゆみさんは半分以上も。こまめにアミノ酸をとったことは非常に良かった。 また、一時雨予報に変わったにも関わらず、うっかり防寒着のダウンをやめるのを忘れていたことはミスだった。 ・感想 結果として、ヒサゴで1泊したので目標達成出来ず、悔しい結果となった。しかし、極端にペースが落ちた中、雨の中歩き続けるのは危険だと判断し、正しかったと思う。力の無さを痛感。 最初は小屋で2時間程仮眠と考えていたが、夕方の避難小屋は入る隙間も無くためらってしまった。(こっちは本当に避難してるのに)この時に強引に割り込んで休んでいたら、また違ったのかもしれない。諦めて霧雨の中、外でツエルトを被って寝ることにした。が、だんだん雨も激しくなり全く寝れない。嘘でしょ!あゆみさん、即寝てるし。「わっ死人みたい」との声が何処からか聞こえる。濡れてくるし、血糖値も下がり始め、何だか気持ち悪い。これはヤバいと思い、相方起して再度小屋へ。強引に割り込んで寝た。あゆみさんは土間で即寝ていた。強すぎ!予定の2時間がたったが、他の高齢登山客の睡眠を邪魔し出発準備をするのは、小心者の私はためらった。また、本降りの夜から、旭岳に向かって歩く強い気持ちは完全に薄れていた。 「ごめん、朝まで寝よう。」 言ってしまった。  あゆみちゃん、ごめんね。

リベンジしても、寝ないで歩けるか自信がないので、もうしないと思う。 全行程約45時間かかったが、とても楽しくこれからに繋がる山行だった。始終あゆみさんに引っ張ってもらい、男前ぶりに惚れ惚れした。 暖かく見守って頂いた会の方々、ありがとうございました。 また最悪の想定ばかりし眠れなかった旦那様、ご心配おかけしました。 記 宇野(ふ)

泊り装備は持たず最小限の装備で、大雪山の縦走路を歩ききる。去年、石井さんと武田さんが36時間で歩いた計画に、ふみさんからお誘いがあり、今の自分にどれだけ頑張りが効くのか知るために決起。 ザックは35ℓ。行動食はおにぎり、ゼリー、ナッツ類など合計7500kcal、水は事前に汲める場所を調べ2.5ℓのハイドレーション、装備はふみさんと分担して余計なものは削ったがザックの重さは結局10.7㎏になった。 とにかくトムラウシ山を越えたくて、十勝岳連峰は星空も朝日もお花畑も全てスルーしペースを上げ歩いた。夜は眠かったが、朝日が出ると完全に目が覚めた。黙々と歩いた甲斐あり、予定の時間よりも早くトムラのピークに着くことが出来たが、そこから緊張の糸が切れ、眠気と疲労でペースダウン。縦走装備の人にさえ追いつけなくなってしまった。小雨が降り始めたので、外でビバーグではなく忠別避難小屋で仮眠をしたいと思っていたが、このペースで雨に打たれながら歩くのは黄色信号。18時ヒサゴ沼避難小屋に逃げ込んだ。が、満員御礼。ふみさんと土間で呆然と立ちつくすが全員目を合わせてくれない。「そこ詰めてもらえれば一人寝られるんですけど」と言うが、はぐらかされて終わった。この状況、まじ??避難小屋なのに??これ以上言っても無駄なので、外でツェルトとシュラフカバーで寝ることにする。32時間ぶりの睡眠で横になったと同時に意識が飛ぶ。しばらくして、ふみさんの体調が悪く、雨が本降りになっているので避難小屋に入り、朝まで待機とする。私は土間でまた気を失うように眠り、ふみさんは寝静まっている人と人の間に入り込んだ。夜中、大雨の音で起きたとき、「明日、朝起きたら天人峡にエスケープしようと言おう」と思う。土間の底冷えで何度が起きたが、シュラフカバーは威力を発揮、充分寝れた。よし、明日は天人峡に下るだけ・・・。 夜が明けたらしく、土間に転がっている私を跨いだりする気配があり、しょうがなく起き上ると、随分疲れが取れている。ふみさんも体調が回復しており、最後まで装備から削るべきか迷っていたジェットボイルを使い、「限界になったときに食べよう」とふみさんが持ってきてくれていた餅入りの味噌汁を胃に流し込んだら目が覚め、体も温まり、ここまで来たんだから天人峡ではなく旭岳まで行ってみようという気になった。5時に霧雨のヒサゴを出発。天気もどんどん良くなり、餅パワーで忠別岳まで一気に爆進。足が自動的に前に出るような気持ちよさでトレッカーズ・ハイとなる。途中から疲れが滲み出ながらも良いペースで高根が原を超え、夢にまで見た最後のピーク旭岳へ。 ここからまた気が緩み、旭岳からの下山は足がガクガクでおじいさん集団に抜かれに抜かれしばし呆然。ロープウェーに乗りたい気持ちを抑え、天女が原方面へ。靴擦れの痛みに苦しみながら、無事に17時45分天女が原登山口着。出発から45時間が経っていた。 結果、ヒサゴに一泊となってしまったが、あのまま意地を張って歩き続けていても、気力・体力共に切れていた可能性は大。私は服が濡れていたし、大雨の中でビバーグは危険だったと思うから、ヒサゴに避難した判断は間違っていなかった。ただし、朝までぬくぬく寝ていないで日の出と共に歩き出す位の努力はした方が後味が良かった。自分の甘さが出た。寝ないで歩き通すことの難しさを知り、先輩たちの強さが身に沁みた。 私は早い段階から固形の食糧が喉を通らなくなりゼリーや飴で栄養補給をし、食糧は3500kcal位余り、水は11ℓ位飲んだ。 ふみさんの出発から旭岳を見据えた気迫に乗っかったから最後まで思い切り邁進できた。これまで大先輩に頼りきり、いつでも助けてもらえる条件での山行ばかりだったが、ふみさんと二人でパートナーとして相談し判断し進み、クタクタになるまで歩いて反省もあるが、大変思い出深い山行になった。 この山行が今後の山人生に役立っていくといい。(渡邉(あ))

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