天人峡フェローズフォール 2021.2.27~3/1

天人峡フェローズフォール 2021.2.27~3/1

メンバー:M岸、I井、H川

 

2015年に当会のI井さんが忠別川遡行時に染み出しを見つけ、
その冬、上忠別山山頂から氷が見えるという話からあっという間に氷瀑に名前がついてしまい早4年、

 

天人峡ダイレクト第2登の記事と対岸からの写真から
フェローズフォール単体へのアプローチが可能ではないかということで
”滝のみ”第3登を狙う。

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2/27 晴れ(一定の高度以上で強風)
13:30にCo1322に到着、雪洞に良さそうな斜面に目星を付ける。
やや時間があるので、
雪洞予定地斜面の先にあるルンゼがおそらく崖の切れ目の南東側斜面に続いていると予測、
最低限の装備とアイゼン・ハーネスを装着し、偵察のため斜面を下る。

後ろ向きでのクライムダウンと前向きが半々ぐらいだがロープを出すほどではない。
GPSで現在地を確認しながら下降すること1時間半、上部の崖が切れる1110m地点にドンピシャに降りる。

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そこから流されたくなさそうな斜面をロープを出して1か所超えたところで本日は時間切れとする。

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登り返したのち快適な雪洞を掘り上げ終了。

 

2/28 快晴(朝から気温がガンガン上がる、稜線上は爆風)
6:00行動開始、昨日ロープを出した斜面はまだ安定していた。
もう1か所のいやらしい斜面もロープを出して様子を見つつ行く。

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やや高度を落としつつ急峻な樹林帯の中をトラバースしてゆくこと250m、
樹林帯の末端で落ち口の氷塊と開けた雪田を目視で確認する。
対岸からの写真と現地を見比べ、地形と松の木の配置などから支障なく降りられそうな氷の有りそうな場所を見極め懸垂下降。

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1P目40mで切り、残り10mで足りず3ピッチで降りたので60mロープを最大限使って2ピッチで降りられそうな感じ。
降りてきた左岸側は上部が怪しく、ハングを含むバーチカルの区間が長くかなりしんどそうな感じ、

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2,3人目同時登攀の予定でいたので階段状に氷が発達している右岸側を登る。

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10:00登攀開始、1P目M岸 垂直な部分も1段5mくらいなので快調に登る。
ただ、快晴で風弱く、日差しの直撃を受ける面は炙られてスクリュの食いつきがめちゃくちゃ悪い。

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55m登ったところでロープ残り3mのコール。丁度日陰に入ったので22cmを2本打ち、ビレイに入る。

2P目I井さん 凹部を抜けた直後に右に回り込んでからの15mほどの氷が日差しで腐り状態がかなり悪い。
その上部はすでにスクリュを打てるような氷はなく、直径12mm位の灌木で3か所ほど支点を取ってはいるが気持ち程度の状態、
最後は水の流れる土の斜面を数m登り、懸垂の支点を取った木でビレイ。

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60mロープを完全に使い切り。土の斜面、手前の極細の灌木ではどうにもできず、かなりぎりぎりだったらしい。

 

13:45クライミング終了。ここから地獄の帰投である。アプローチで通ってきた斜面の多くが雪崩の走路になっており、

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消失またはデブリで埋まっている。横這いで通過してゆくが通過中に大量のご新規さんが降ってくると確実に持って行かれる。

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最も逃げ道の無い狭い数か所を急いで通過し15:15雪洞に無事帰還。

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3/1 ガス・アラレ(視界は500m程度)
6:00撤収 出発直前に確認した予報では前線が通過する上、気温も高くなる予報だった。

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取付シールがべた雪で高下駄になるのは避けたかったので急いで戻る。
幸い前日の高温で雪がかなり締まり膝下ラッセルが踝ラッセルぐらいになっていたのでかなり早く戻ってくることができた。

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7:45スキーコースに合流、8:15駐車場着

 

コメント:

2月3日の例会時、今後の山行計画聞いたところ、M岸さんが25日に天人峡ダイレクトの偵察に行くとのこと。私は「本番の時はサポートに行くよ。」と言って例会は終了した。
23日にH川さんから連絡があり、急ですが週末の27~1日で天人峡ダイレクトに行くが、行きませんかとの誘いがあった。丁度、都合が付くので参加。

こんな天候に恵まれた山行は何年ぶりか、氷瀑へのラッセルはM岸さんが一人でやってくれ楽をさせてもらった。青く輝く氷瀑を気持ちよく登ることができ、雪洞に2泊したが静かで暖かい夜を過ごせ、美味しい料理を食べた。久々に膝に一度置かなければ担げない荷物を背負って行動した。M岸、H川さん、とても楽しい山行に誘ってもらいありがとうございました。
 天人峡フェローズフォールは、高さ115m、幅100m程度か。垂直部分が段々に重なった氷で、途中で休めるので、それほど難しくなくWI3~WI5を選んで登れる感じ。
また、ここで合宿をして何本もいろんな形状の氷を登り込めば経験値を上げられるので、1日目に入山してアプローチ確保、2日目アイス3本、ヘッデンでテン場へ戻る、3日目下山とか、いろいろなパターンで計画しても良いだろう。(I井)

 


最初はアプローチ偵察のつもりで居ましたが、急遽、天人峡フェローズフォールに。
まだまだ何もかも足りない私なんぞがお二人について行けるのかと心配でしたが、案の定ついて行けませんでした。遅い私を気にかけていただいた上に氷壁までフォローしていただくなんて申し訳ない気持ちばかりでした。が、それと同時にこんなにも良い経験をさせていただいた事にも感謝しきれない思いです。
いつかはリードで、ラッセルで、代われるくらいに成長したいと強く思う山行になりました。
でも、5年位かかるかもしれないので暫くお待ち下さいませ。 (H川)

 

近くて遠い氷から、(今の自分の実力でも)現実的に登りに行ける氷であることを確認できたことはとても嬉しい。何よりも天気に恵まれ、最高の環境だったことで満点に近い山行で終えることができた。快適な雪洞2泊と洗練されたメニューの山の飯は最高に美味しかったです。旭川近郊の氷しか経験したことのない自分としてはこの115mのスケールはかなりシビレた。アプローチに多少難があるが、ここで登りこめば強くなれそうな気がする滝だ。 もう少し荷物を背負えて、WI5を休憩せずに登れるようになるためにまた行きたい。できれば同じぐらい天気の良いときに。(M岸)